【お知らせ】パブリックコメント提出のご報告(ラストマイル輸送に係る制度改正について)



一般社団法人全国軽貨物協会は、
「ラストマイル輸送等への輸送対策としての自家用有償運送の許可に係る取扱いについて」の一部改正に関する意見募集に対し、2026年3月13日付で意見を提出いたしました。
本制度は、電子商取引の拡大や小口配送の増加に伴い、輸送力不足への対応として自家用有償運送を例外的に活用することを目的としたものです。
当協会としても、物流困難地域における輸送力確保の必要性については一定の理解を示しております。
一方で、軽貨物運送事業の現場実態を踏まえ、以下の観点から課題を指摘し、制度設計の見直しを提言いたしました。

■ 主な指摘事項

1.安全確保に関する課題
・制度改正前後の安全性を評価するための指標が未整備
・届出事業者と無届事業者の外形的区別が困難
・運行管理や事故報告の実効性に課題が存在

2.制度整合性に関する課題
・個人事業主を前提とした運行管理と労働者性の関係が未整理
・偽装請負・偽装フリーランス問題との整合性に懸念

3.適正取引および産業の持続可能性への影響
・現行の運賃水準は極めて低く、持続可能性に課題
・自家用有償運送の拡大により既存事業者の競争環境が悪化する懸念

■ 当協会からの主な提言

・運行管理・安全教育・事故管理の具体的基準の策定
・安全性を評価可能とするデータ収集体制の構築
・個人事業主に対する管理監督と労働者性の整理
・届出事業者の識別制度(許可証・車両表示等)の導入
・物流困難地域対策と既存事業者の持続可能性の両立

軽貨物運送事業は、日本のラストマイル物流を支える重要な社会インフラです。
当協会は今後も、安全確保と適正取引の実現を軸に、持続可能な物流環境の構築に向けた政策提言を継続してまいります。


なお、提出した意見の全文は以下のとおりです。
(※下記に全文掲載)

「ラストマイル輸送等への輸送対策としての自家用有償運送の許可に係る取扱いについて」の一部改正についてに関する意見

当協会は、軽貨物運送事業者を中心とした業界団体として、ラストマイル物流の持続可能性と安全確保の両立を目的に活動している。

本改正は、電子商取引の拡大や小口配送の増加に伴い、事業用車両のみでは輸送力の確保が困難な場合において、自家用有償運送を例外的に活用することで物流サービスを維持することを目的とする制度と理解している。
また、物流困難地域における輸送力確保という政策目的については一定の必要性を認識している。

しかしながら、軽貨物運送事業の現場実態を踏まえると、本制度には安全確保、制度整合性、産業の持続可能性の観点から重大な課題が存在すると考える。

第一に、安全確保に関する課題である。
軽貨物運送事業においては近年事故件数の増加が指摘されており、2025年4月より安全対策の強化が開始されている。しかしながら、本制度においては制度改正前後で安全への影響を評価するための定量的な指標が存在していない。また、届出事業者と無届事業者を外形的に区別する手段がなく、届出事業者が実施すべき運行管理上の管理監督の具体的内容も十分に明確化されていない。さらに事故報告制度が導入されているものの、事故発生件数と報告件数の乖離が指摘されており、遵法精神のみに依存した実態把握には限界がある。事故対策が急務とされる軽貨物領域において、本制度が安全対策の観点から必ずしも適切に機能するとは言い難い。

第二に、制度整合性に関する課題である。
軽貨物運送事業は一般貨物運送事業とは異なり、ドライバーの多くが個人事業主として稼働する構造を持つ。このため運行管理上の管理監督は労務管理と重なる部分が多く、労働者性の問題が従来から指摘されてきた。近年では配送指示のデジタル化等が進む中で、偽装請負や偽装フリーランスといった法的リスクが問題視され、安全対策を目的とした管理監督であっても制限されるケースが生じている。本制度は届出事業者に運行管理上の管理監督を義務付ける一方、受託事業者として個人事業主を想定しており、運行管理上の管理監督が労働関係法令上の労働者に該当するという見解との整合性に疑問が生じる。

第三に、適正取引および産業の持続可能性への影響である。
現在、軽貨物運送事業の運賃水準は極めて低く、拘束時間ベースの運賃を時間単価換算すると概ね1500円程度にとどまっている。これは社会保険料を含めた最低人件費と同程度であり、都市部では実質的に最低賃金を下回る場合もある。さらに車両費、燃料費、保険料、車庫費用など運行に必要な費用を差し引くと、事業として持続可能な水準とは言い難い。このような状況において自家用車による有償運送を拡大する制度は、需要側の利便性に偏った制度設計となり、既存事業者の競争環境を悪化させる可能性がある。結果として、現在事業者が存在する地域においても事業継続が困難となり、長期的には物流インフラの弱体化を招くおそれがある。